江戸絵画が好き!

屏風は琳派、襖は京狩野、掛け軸は若冲、仏像は慶派

9月から11月、ぐるっとパスを活用してみた収支報告書

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9月に「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を購入して、有効期間の2ヶ月間、美術館をめぐりました。途中の10月が忙しくて、ほとんど有効活用できなかったんですが、残り期限4日というタイミングからバーっと1日2館長ぐらいこなすようにして、たぶん元は取れたはず…?(計算前)
その収支報告をしてみたいと思います。

ぐるっとパス=2,200円


●パスを使った美術館・または割引された展覧会
国立西洋美術館 常設展              500円
国立西洋美術館 展覧会割引(松方コレクション)  100円
東京国立博物館 常設展 620円旧東京音楽学校奏楽堂 300円
国立近代美術館・常設展              500円
パナソニック留美術館(デユフィ展)       1000円
大倉集古館(桃源郷展)              1300円
泉屋博古館分館(文化財よ、永遠に)        800円
渋谷区立松濤美術館(日本・東洋 美のたからばこ) 1000円
五島美術館(美のトランジッション)        1000円
静嘉堂文庫美術館曜変天目など)         1000円
世田谷美術館・コレクション展(森芳雄)      200円
オペラシティアートギャラリー(カミーユアンロ)  1200円
東京都現代美術館・コレクション展         500円
千葉市美術館(オルリクとミュシャ)割引      100円
合計10,120円


ということは、あれ? 8000円近くトクをしていますね。めっちゃコスパええやん!そんなに大幅に得していない感じがしたんですが…。もちろん無料パスがあるから入ったところもあって、そうでなくても入る「本当に見たい展覧会」だけに絞ると、5000円ぐらいかなと思います。それでも充分ですね。


たった1回使っただけですが、私なりに、ぐるっとパスの活用法を考えてみたので、まとめます。


1)上野エリアを中心に月1回企画展に行くスタイルの人は使いこなせない!

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というのも国立西洋美術館もトーハクも都立美術館も「コートルード美術館展」のような特別企画展は、割引が100円分あるだけだからです。ほとんどの人が見たいのは、そっちのほうじゃないですか。そして企画展のチケットを購入すると、そのチケットで常設展も入れてしまうので、常設展だけ無料になる「ぐるっとパス」の効果はあまり感じられません横浜美術館もそのパターンに入りそう。

2)美術検定を受けるなど、美術史を勉強したい人にはおすすめ!

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私がまさにそうでした。美術検定に出てくるような美術の歴史をてっとり早く憶えたい人は、「ぐるっとパス」を買って、国公立美術館の「常設展(コレクション展)」を回りましょう。


おすすめコースは
西洋美術の歴史コース=国立西洋美術館→国立近代美術館→東京都現代美術館

日本美術の歴史コース=東京国立博物館→国立近代美術館→東京都現代美術館

要は、上野に行って、西洋美術館とトーハクをめぐり、その後、竹橋の近代美術館、清澄白河の現代美術館と回れば、鑑賞しながら美術史の重要ポイントを押さえることができます。

 

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特に西洋美術館のコレクションは改めて感動しました。中世の初期キリスト絵画から、ゴシック、ロココバロック印象派、ポスト印象派キュービズムシュールレアリズムまで、ほぼ美術史に出てくるポイントの絵を見ることができる。アジアでこれだけの時代の西洋絵画を網羅しているのは、ここだけじゃないでしょうか。
戦前の、西洋に追いつけの時代に、無理して絵画を買い漁ってくれた松方さんに、改めて感謝したいです。


近美は言うまでもなく、名品ぞろいですよね。11月のコレクション展も、

萬鉄五郎の「裸体美人」

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村山知義の「コンストルクチオン」

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など、わ~、美術史の参考書で見た!という感じ。試験問題でも取り上げられがちな重要作品が展示されていました。
現美はそういう意味ではパスしてもいいのかなと思いますが、日本の20世紀美術の憶えにくいところ、例えばハイレッド・センタールポルタージュ絵画の作家たちの絵を実際に見られます(コレクション展のチョイスによるけれど…)。そうすると、全然なじみがなかった作家たちでもやっぱり覚えやすいんですよね。


この4館の常設展で「ぐるっとパス」の2200円分ちょうどぐらいです。他の美術展もふらっといけるかもしれないから、買っておいていい感じがしますね。


3)日本の古美術、陶芸が好きな人にもおすすめ!

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人気の企画展「ゴッホ展」や「ハプスブルグ展」に行きたい西洋美術ファンにはあまりお得感がありませんが、日本美術、しかも、“焼きもの”陶芸好きの人には、この秋冬、ぐるっとパスで行ける展覧会が多いので、おすすめです。


東京国立博物館  620円「焼き締め茶陶の美―備前信楽・伊賀・丹波―」12/8まで
五島美術館    1000円 
静嘉堂文庫美術館 1000円
大倉集古館    1300円 ※展示会による
泉屋博古館分館  800円
石洞美術館    500円
戸栗美術館    1000円
これで小計6220円ですね。
私立美術館の方がチケットが高めなので、元を取りやすいと思います。


プラスして
出光美術館「やきもの入門」 200円割引
三井記念美術館「高麗茶碗」 1300円 ※12月1日まで。その後の展示も国宝の茶碗などが出るよう
あたりまで回れるなら、7720円円分ということになるので、お得感がましましになります。


私は、陶芸までは手が回らないわ~と敬遠していたのですが、絵を見るついでに眺めていたら、だんだん好きになってきました。

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静嘉堂文庫は国宝の曜変天目も展示されていましたが(写真は油滴天目)、利休の茶入れ(こちらも国宝)なんて、手のひらサイズの陶器が発するオーラにすっかり引き込まれてしまいましたもんね。

茶道具、茶陶なんてね、そんな高尚なもの、まったくなんの縁もないんでございますが…。茶道具狂いと揶揄された織田信長の気持ちがちょっと分かってきました。欲しいよ欲しい、この名物が欲しい。


さて、ぐるっとパス、一度使って気が済んだかなと思ったのですが、

埼玉県立近代美術館 1200円(企画展「ニューヨーク・アートシーン-ロスコ、ウォーホルから草間彌生バスキアまで」)に行きたいので、パスを買っておけば、他のところも回れていいなぁと思ったり…。目黒の郷さくら美術館(1000円)も行ってみたいしなぁ…。


よし、もう一回、買ってみるか。
なんだかすごく宣伝っぽい締め方になってしまいましたが、決して宣伝広告ではありません。