美術展レポ-東京近代美術館「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」
(特にこの絵が見たいっていうお目当てはないんだけど…。)
と思いながらも、気になって、会期終了間際、「窓展」に行ってきました。
会場には「窓」をモチーフにした絵画、オブジェ、写真、ビデオアートなどが多数、展示されていました。
私にとっては知らない作品も多く、新しい出会いがありましたよ。
改めて考えてみると、「窓」とは何か?
室内から外の世界がのぞけるもの。美しい景色が見えるもの。時に恐ろしい光景も見えるもの。開ければ外の空気や雨風、その他のいろんなものが入ってくるもの。
借景という言葉もありますし、現代はPCのモニタ上にたくさんの窓(ウィンドウ)を開ける時代。いろんな窓を同時に開いてマルチタスクをする。
いずれにせよ、基本は窓からのぞきたいからのぞいているんですよね。窓の中に自分にとって楽しいもの、うれしくなるもの、美しいと感じるものがあれば、うれしくなる。
続きを読む美術展レポ百番勝負-001-岡田美術館「金屏風展」②
さて、今回、私が鑑賞して「やられたー」と心打たれたマイベスト3を発表させていただきます。浅学非才の身ではありますが、ここはアートとの出会いということで直感で選びました。
やっぱり光琳はいい!
「金屏風展」のベスト1 尾形光琳「菊図屏風」
この美術館で見たのは2回目なのですが、やっぱりいい!
屏風の前にじっと座っていると、この画の中に我が身が吸い込まれていくようです。逆・貞子のように、この幽玄の世界に入って行ける気がします。
館長のご説明(うろ憶え)
「光琳のこの屏風はやはり(美術的に飛び抜けて)すばらしいもの。画面の中、左から右へ風が流れ、菊の花が揺れている。菊の茎は緑のものと、ちょっと枯れたような色の2種類があって、枯れた茎に花が咲くわけはないのだが、意匠的にそのような変化をつけたのでしょう」
風の流れを意識して菊の花を追ってみると、本当にふわりとした風が見えるようです。
中央(境目)には白で描かれた池か水たまりがあります。それが右隻と左隻をつないでいる。
菊の花びらは細かく1枚1枚、枝葉の緑のラインも金色で詳細に描かれています。
「光琳菊」という図案があって、それは菊の花をまるっと簡略化したものだそうですが、この屏風絵では、花びらを胡粉をふんだんに使って盛り上げるように描いて、立体的になっていました。
この屏風ではないようですが、光琳の別の白菊屏風について、1903年の文献がありました。
「あたかも半肉彫刻のごとき技巧を表わし、(中略)優雅ー麗の妙をーにするは光琳の特長なり」。
たしかに菊の花はレリーフのようでした。
しかし、この屏風絵、重要文化財にもなっていないということで、光琳の作品の中では評価が高くないほうなのかもしれない。
一見、地味というかさらっとしすぎているんですよね。「燕子花図」のようにパキッとしたデザイン性もないし、「紅白梅図」のように「な、なんだこれは…」と思わせる奇想のひらめきもないし、ただ、初夏に青々とまっすぐに咲き誇る燕子花(かきつばた)ではなく、秋の野に咲く繊細な印象の花だから、花に合わせてこの構図を考えたんだと思うんですよね、光琳は。
そんなことを考えながら、10分ほど屏風の前に座っていました。優美夢幻という感じでした。
続きを読む美術展レポ百番勝負-001-岡田美術館「金屏風展」①
箱根・岡田美術館「金屏風展 ―狩野派・長谷川派・琳派など―」<後期>
屏風絵は“会いに行けるアイドル”だ!
屏風絵、好きです。
日本美術に本格的にハマったのは2018年。これまでも「若冲展」など話題の展覧会にはに参戦してきましたが、今年2019年の「奇想の系譜展」がダメ押しでした。あれはすごかったですね。
若冲の絵がすばらしいのは知っていましたよ。というか、それが目当てだった。でも、若冲の展示は混んでいたので、先のスペースに進み、そこで対面した曾我蕭白の「群仙図屏風」のインパクトといったら! 怖いよ狂っているよ面白いよ。長沢芦雪の「龍図襖」もすげー。なんじゃこりゃ。狩野山雪の曲がりくねった梅の枝も、好きだわ。とハートを撃ち抜かれっぱなし。
日本画、すごい!
と良い年齢なのにIQ30ぐらいになって、どつぼにハマりまして、それでジャンキーになっちゃったんです。日本画中毒。またあの感動が欲しい。美術展に行けばきっとまたあの電撃に打たれたような気持ちが味わえるはず。
ハァハァ言いながら、今年はもう20以上の日本美術展に通っております。
そのときに屏風絵や襖絵をたくさん見たからか、とにかくサイズの大きな絵が好きなので、絵巻物などだとちょっと物足りない。理想的なのは縦は天井まで横は部屋の入り口までドドーンと広がる襖絵(障壁画)ですが、なかなか見られるものでもないので(9月に二条城で見ました)、屏風は現実的。美術展には必ずと言っていいほど展示されているし、その前に立つとテンションが上がる。会いに行けるアイドルみたいな距離感。
2019年のマイ流行語大賞は「六曲一双」だったりします。この言葉を聞くと、わくわくしてしまいます。「今度のライブ、六曲一双、出るの? なら行くよ」みたいに。
勝手に琳派三大国宝金屏風を選定(見た自慢)
さて、箱根の岡田美術館で「金屏風展」が開かれているというので、今年、琳派三大国宝金屏風(勝手に命名)を制した私が行ってきましたよ。
ちなみに琳派三大国宝金屏風と思うもの
俵屋宗達「風神雷神図屏風」9月に京博で見た
尾形光琳「紙本金地著色燕子花図」5月に根津美術館で見た
尾形光琳「紙本金地著色紅白梅図」2月にMOA美術館で見た
他に宗達の「源氏物語関屋及び澪標図」もありますが(これも今年見た気が…)
「国宝」「やまと絵ではない」「絵画として画期的である」がそろったものを選んでおります。